ステップ2において、『仕事を通じて手に入れたいもの』、およびそれらを手段として用いて実現したい『理想の姿』を言語化した。
ステップ3では、『仕事を通じて手に入れたいもの』を得られる『理想の仕事の条件』を洗い出し、それぞれにおいて現職に留まる、もしくは転職が適切かを評価する。
最終的に、それらの総合評価で、現職に留まるか、転職するべきかを決定する。
『理想の仕事の条件』を洗い出す
まずは『仕事を通じて手に入れたいもの』を得られる『理想の仕事の条件』を洗い出す。
私が28歳当時に整理した『仕事を通じて手に入れたいもの』は以下である。
他人が勤めている会社より、有名、平均給与が高いといった社会的・客観的に優位に立てる会社に勤めること。
自他ともに、自分にしかできないと言える成果を上げること。
これらを得られると考えられる『理想の仕事の条件』を整理した。
- 大手企業・ネームバリューがある
- 給与が高い
- やりがいがある
これらが理想の条件である。
何の淀みもない、シンプルな条件だ。
ここではあまり深く考えすぎず、シンプルに考えることを心がけるのが良い。
『理想の仕事の条件』を満たせるのは現職 or 転職?
まず、この問いに答えなければならない。
『理想の仕事の条件』を実現するのに適しているのは、今の仕事の継続か、はたまた転職か?
私が前項で挙げた3つの条件についてそれぞれ考えてみる。
①大手企業・ネームバリューがある
私の場合は、小さな医療機器メーカーに勤めているわけなので、現職のままでこの条件を達成することは絶対にできない。
達成する方法は文字通り、ネームバリューのある大手企業へ転職するしかない。
②給与が高い
次に『②給与が高い』という条件を今の仕事のまま達成できそうか考えてみる。
給与が高いという指標を年収1,000万円とする。
今の仕事でそれを達成できるのがいつ頃になりそうか、周りの同僚や職位の高い方々から集められる情報から探ってみる。
するとどうやら、管理職となり、それなりの業績が良ければ年収1,000万円には到達できるようだ。
ただ、その1,000万円を稼げる管理職というのが平均年齢40代後半というのが問題だ。
つまり早くとも28歳当時の私が年収1,000万円を稼ぐには20年近くかかるということだ。
私は35歳までには年収1,000万円を稼ぎたいと思っていた。
40代後半まで待つというのは絶対に許容できない。
こうして、『②給与が高い』という条件については、実現可能性および達成までの時間という2つの観点で、現職に留まるよりも転職に軍配が上がった。
③やりがいがある
最後に、最も考え方が難しい『③やりがいがある』という条件について考える。
その前にやりがいとは何だろうか。
これは人によって違うのだが、私の場合は、仕事を通じて『優越感』『達成感』を得なければならないわけなので、やりがい=『自他ともに仕事ぶりを認められること』と定義した。
まず、自分自身が自分の仕事ぶりを認められるというのはどういう状況かというと、努力する余地があり、頭を使って必要な仕事を生み出していけることだと捉えている。
これに関してはほとんどの仕事が当てはまると思う。
もちろん、与えられた役割をこなすことしか求められいない職務内容の仕事もあるので、一概には言えない。
私は医療機器メーカーのマーケティング担当であったので、例えば、関連する文献情報をまとめて営業担当者向けの資料をより拡充する、といった、必要ながらそこまではリソースを割き切れない仕事を創る余地があった。
なので、自分自身が自分の仕事ぶりを認めるという点においては、現職に留まったままでも達成可能である。
反対に、誰かや会社が自分の仕事ぶりを認めてくれるという点について考えてみる。
これについては、『給与への反映』と『同僚・上司からの賛辞』という2つの観点が挙げられる。
『給与への反映』においては、結果として上に述べた『②給与が高い』という条件に繋がるのだが、給与体系上ボーナス額や昇給の幅に与えるパフォーマンスの影響が小さいため、モチベーションにはなり得なかった。
他方の『同僚・上司からの賛辞』についてだが、実は当時28歳の私の周りのマーケティング担当の方々は皆40歳前後であり、まだ若く経験が少ないながらも奮闘する私をいつも褒めてくれる先輩がおられた。
今思えば、私のこの能力や実績が素晴らしいという趣旨でなく、伸びしろや姿勢といった可能性に期待してくれていただけだということはわかるのだが、言葉をかけてもらえると嬉しかったことは覚えている。
ただし、それだけで現職に留まるという判断にはならない。
先に述べた『①大手企業・ネームバリューがある』『②給与が高い』という条件と並べてはいるものの、『③やりがいがある』というのは非常に脆い概念で、案外心の拠り所にはならない。
しかも、その褒めてくれる先輩だけでなく、私の直属の上司も気にかけてはくれたものの、結局は昇進するポストもなければ、時間もとてつも無くかかることが想定されるわけで、同僚・上司からの賛辞の効果は非常に短く限定的だ。
自分を褒めてくれるという事実だけに舞い上がり、周りが見えないまま数十年後に後悔しても遅い。
アウトサイダーであるためには、自身が逃げ込む隙を無くさなければならない。
自分が描く理想を達成するために、心を鬼にする必要がある。
最終的な判断は今までのプロセスを無駄にせぬように
こうして、理想の3つの条件である『①大手企業・ネームバリューがある』『②給与が高い』『③やりがいがある』は、いずれにおいても転職するのが適切という評価となった。
したがって、『理想の仕事の条件』を達成するためには、転職するべきであると総合的に判断した。
主観的な感情に流されず、客観的な根拠を集めて評価することが重要である。
なお、私自身3度転職しており、その度に転職決意編ロードマップに当てはめて、転職すべきかを判断してきた。
もちろん何度か転職されている方はお分かりになると思うが、一度の転職で理想の未来が達成できる画が描けないこともある。
であるならば、2度の転職で理想の姿を達成すれば良いだけである。
一足飛びに理想の姿を達成できると思わない方が良い。
転職に限らず、思い描いた通りに行かないことすら当たり前だし、何より自分の考え方や理想の姿が変わるのも当たり前のことである。
だからこそ順序立てて考えることにより、転職有無の判断を大幅に誤らない方が良い。
あとはどれだけ自分が実直にその思考プロセスに取り組むか、そして導き出した答えを正面から受け止めるかが大事である。