求人に応募する際に提出が求められる書類は主に、履歴書と職務経歴書の2種である。
履歴書は、学歴や経歴、保有資格といった事実を正確に記載するだけなので、特に気をつけるべきことはない。
重要なのは職務経歴書の方である。
この記事では職務経歴書の作成における重要な点をお伝えする。
職務経歴書は『0次面接』を闘う分身と心得よ
転職活動における第一段階は、入社したい会社・ポジションの求人に対して、転職エージェントを介して履歴書と職務経歴書を送ることである。
その後書類審査を通過すると、複数回の面接を経て採用可否が決まる。
つまり、書類審査を通過しないと面接に進むことができないので、書類審査に使われる職務経歴書は面接より重要と言っても過言ではないのだ。
面接という生身の私たちがパフォーマンスを発揮する以前に、職務経歴書という私たちの分身に書類審査という『0次面接』を通過してもらわなければならない。
そう考えると、面接準備と同等に時間をかけなければいけないことがわかる。
ちなみに、書類審査を通過して面接にこぎつけた際、大抵面接官は事前に職務経歴書に目を通しており、疑問点やもっと深堀してみたいことを聞いてくるのが通常の流れである。
自分は口がうまいから面接にこぎつけられれば勝ったも同然と思っている人ほど職務経歴書を軽視しがちである。
しかし、上に述べたように、面接は職務経歴書をベースに進められるので、職務経歴書が作り込まれていないと、面接で話す内容と職務経歴書との整合が取れなくなり、面接官に不安を与える事になる。
職務経歴書の作り込みは面接準備にも直接つながるので、時間をかけてやるべきだ。
職務経歴書はラブレターであるべき
ラブレターなど今時書かないかもしれないが、ここで述べたいのは完成された職務経歴書というのは読み手が自分に向けて書かれたものだと認識できるくらいにカスタマイズされているということだ。
ステップ2で述べたように、自分の理想を実現するために応募する求人を厳選しているということは、その会社でしかできないことがあると判断したということだ。
その判断の根拠が職務経歴書に反映されていなければならない。
そう考えると職務経歴書のベースは使い回すことはできても、応募するポジションごとに全く違うものになるはずである。
例えば私が医薬品メーカーのメディカル本部に転職する際の職務経歴書は、『患者貢献』のニュアンスを前面に出していた。
それは、メディカル本部が売上ではなく患者貢献を目的に存在しているからだ。
もし売上を最大化することが求められるマーケティング部門に応募するとしたら、同じ医薬品メーカーであっても書き方やニュアンスは全く違うものになる。
このように、職務経歴書は応募する求人ごとに書き分けるべきであり、実際に読み手となる面接官、つまり入社した場合の上司(もしくはその上司)となる方々に向けて想いを爆発させるラブレターでなければならない。
正しい企業研究のあり方
先ほど応募する求人ごとに職務経歴書を書き分ける必要があると述べたが、そのためにはいくつか必要な情報がある。
まずは、企業研究で把握しておくべき情報と、それらをどのように使っていくのかを解説する。
企業研究で把握しておくべき情報
企業研究を行う上で把握しておくべき情報は全部で5つある。
それぞれ解説する。
- 企業が求める人材像
- 事業内容
- 応募する部門が大事にする考え方
- 応募する部門のこれまでの実績
- 応募するポジションの業務内容
①企業が求める人材像
これを把握することで、応募者自身がそのような資質を持った人材であることを職務経歴書でアピールすることが可能となる。
それができると、職務経歴書の読み手に『この応募者が入社したら会社にフィットしそうか?』という実は大変重要な『フィーリング』の部分をクリアすることができる。
なお、『御社の会社の理念に共感して、、』といった中身のない直接的な書き方をするべきではなく、読み手がそう判断できる内容にすることが大事なのだ。
会社のクレドやパーパスを余すことなく把握し、自分がその会社の一員として常にそれらを閲覧できる状況で過ごしてみて、職務経歴書を作成すると良い。
そうすると、随所に『会社が大事にしていること』につながる内容が職務経歴書に散りばめられていくはずだ。
②事業内容
当たり前だが、会社がどのようなビジネスを行なっているのか知っておく必要がある。
これができていないと企業研究ができていないと判断されてしまう。
また、その会社の歴史も知っておくと良い。
10年前と全く同じビジネスをやっている会社は少なく、主力製品や収益の柱、会社が力を入れている領域などは常に変化している。
ポイントは、会社の中にいたら感覚的に理解できそうなレベルには歴史を含めて会社全体が何をやっているかを知っておくと良い。
③応募する部門が大事にする考え方
前項『職務経歴書はラブレターであるべき』で少し述べたが、通常会社は応募する部門ごとに文化や考え方が全く異なる。
部門が異なると全く違う会社と言ってもよいくらいに文化も考え方も異なることが普通である。
そこで、その部門の『当たり前』を理解していないと判断されるような書きっぷりだと、その時点で『余所者』だとみなされる(実際その時点では余所者なのだが)。
再掲だが、私が医薬品メーカーのメディカル本部に転職する際の職務経歴書は、『患者貢献』のニュアンスを前面に出していた。
メディカル本部は建前ではなく患者貢献を目的に存在している。
入ってから分かったが、本気で医療を良くしたいと思っている方が多くおられた。
そういった文化において、売上や数字といった実績だけを語ってしまった場合、文化を正確に理解できている、目的に共感できているとは感じてもらえない。
どのような経験から、どのように患者貢献を行なったのか、具体的なエピソードに想いを絡めて書かなければならない。
売上を追い求めるマーケティング部門に応募する場合とは、全く異なる文章の構成になることは容易に想像できると思う。
このように職務経歴書に醸し出されるニュアンスは、応募する部門が大事にする考え方を深く理解することが重要となる。
④応募する部門のこれまでの実績
どの部門にも、輝かしい成果や新しい取り組みを行った実績があるはずである。
つまり、そのような『これまでに成し遂げてきたこと』を把握し、自分が入社したらそれらの実績をより大きくすることに貢献できるとアピールするのである。
また、これまでの実績としては小さくとも、今後力を入れていきたいと表明されているような分野や事業があれば、それらに寄与できる人材であることも必ずアピールする。
⑤応募するポジションの業務内容
これまでは会社や部門の解像度を上げる情報取得について言及してきたが、応募するポジションの業務内容を正確に把握しておくことも大変重要である。
なぜなら、会社が違えば同じポジション名であっても、全く業務内容が異なるということもある。
これまで把握してきた①〜④の影響だけでなく、外資系の場合はジョブディスクリプション(ポジションごとの業務内容を記した書類)を本国が作成しており、業務内容の幅に柔軟性がないといった事情も関係する。
応募するポジションにおける業務内容を把握できていないと、せっかく良いエピソードで特筆し難い実績があっても、その押し出し方を間違えて評価されないこともあり得る。
また、読み手はこれまで幾度となく職務経歴書を読んだり面接をしてきた百戦錬磨の手練れであることが多いので、業務内容を理解していないと思われる“お花畑感満載の”職務経歴書など読まない。
自分たちの仕事を理解できていない人間と働く気にはなれないのだ。
もちろん入社していないわけなので完璧に知ることはできなくとも、押し出す強みを間違えないくらいの理解は必要である。
信頼できる筋からの情報だけを活用せよ
上で述べた『企業研究で把握しておくべき情報』を入手するソースはそれほど多くはない。
- 企業の公開情報:企業が運営するHP・YouTube・現職企業関係者が発刊した書籍
- 生の情報:“信頼できる”転職エージェント・現在その会社で働いている人の声
①企業の公開情報
これには、企業が運営するHP・YouTube・現職企業関係者が発刊した書籍が当てはまる。
いずれも企業もしくは企業に在籍する現職の社員による発信であり、虚偽や過度に盛られた情報といった不純物が含まれない。
HPやYouTubeでコンテンツが熱心に更新されている場合、全て見るのは大変なのだが、全て見るべきである。
企業がわざわざ対外的に発信するということは、競合優位性を保つという観点で相当の覚悟を持って行っていると考えて良い。
そういった事業内容をメインとしたコンテンツだけでなく、会社や各部門が大事にしている文化や考え方、これまでの実績の具体例(前項①〜④)といった情報を詳細に得られる。
②生の情報
これには、“信頼できる”転職エージェント・現在その会社で働いている人の声が当てはまる。
なお、前項⑤『応募するポジションの業務内容』の把握には、これら生の情報が必要不可欠である。
どうしても業務内容というのは①企業の公開情報で得られる情報の粒度では十分ではない。
公開できる範囲が限られるのと、それを公開してもコンテンツとして面白くない等の理由が想定されるが、職務経歴書を記載するには重要である。
だからこそ、“信頼できる”転職エージェントと記載した。
転職エージェントを通じて得た情報が間違っていた場合、その時点で職務経歴書はゴミになる。
改めて転職エージェントの選び方が重要であることをわかっていただくために、未だ良い転職エージェントに巡り合っていない方はご一読いただきたい。
また、現在その会社で働いている人に直接話を聞くというのも大変有効な手段である。
前項①〜⑤の全ての情報を確度高く集めることができる。
なお、企業が開催する『ざっくばらんに話しましょう』という会は、当然企業にとって重要な採用活動なので、社員側はざっくばらんには話せない。
オススメは、過去にその企業に応募し、今はその会社で社員として働いている人を転職エージェントに紹介してもらうことである。
転職活動そのものに理解がある上に、自分が世話になった転職エージェントからの紹介ということで一定の安心感を持って話してもらえる可能性が高い。
職務経歴書作成で念頭に置くべきこと
アウトサイダーなればこそ、普通の人と同じことを普通にやっていてはいけない。
本当に意味のあることを、時には痛みを伴いつつやるべきだ。
私はそうやって生き抜いて来た自負がある。
職務経歴書を書くには念頭に置いておくべきことがあり、それを勧める理由も明確に存在する。
職務経歴書を意識して日々の仕事をする
まず一つ目に、日々漫然と過ごさず、職務経歴書に書ける仕事をしっかりとやるべきである。
職務経歴書に経歴として記載できる事実を増やすには、現職での実績を積み上げる他ない。
過去に所属した会社や部署における実績という事実を今更増やすことは不可能であり、それを職務経歴書上でやってしまうと嘘になる。
したがって、今やっている仕事は職務経歴書で映える経験になりそうかを常に考えて欲しい。
何でもかんでも引き受けるのではなく、この目の前の仕事をどのように職務経歴書に書くかを想像しながら、取捨選択するのが望ましい。
もちろんやるべきことはやるべきだし、無下に断ることは社会人としてあるべき姿ではない。
ただし、職務経歴書に書けるように、目の前の仕事に何らかの意味を見出し、転職すなわち次の仕事につなげる気概で今の仕事をするというのが重要だ。
その姿勢で仕事をしていると、綺麗事ではなく、ほとんどの仕事が自分の捉え方次第であることに気づく。
ただ、ここで伝えたいのは、それでも自分の身体は一つなので、転職というマイルストーンを達成するために限られた勤務時間を有効活用するべきということである。
必ず毎日見返すことで雑念を取り除く
ミソは『必ず毎日』という部分である。
何があっても、いかなる理由があっても、毎日見返す必要がある。
その理由は、毎日見返し、絶えずアップデートをすることで、本来不要な雑念を職務経歴書から取り除くことができるからである。
クリエイティブな文章は夜に書くと良い、と言われることがあるが、夜は感情が良くも悪くも安定せず、その不安定さが文章に現れる。
こういった時間帯による感情の起伏だけでなく、仕事がすごく上手くいったり、反対にプライベートでものすごく嫌な事があったなど、人間は日々ジェットコースターのような感情の変化の中で生きている。
しかし、それらの感情が全て職務経歴書に反映させるべきものであるかというと、当然そんなことはない。
必要なのは、面接官が採用したいと感じる根拠を伝えることであり、どのような仕事でも求められるガッツやコミットメント、あるいは勢いというのは、言葉の中身ではなく、面接での立居振る舞いで見せるべきものだ。
だとすると、職務経歴書という文章に、そういった余分な感情を反映させる必要はない。
人生にとっては重要だが、面接官にとってはどうでも良いのだ。
何ならどうでも良いどころか、何が事実でどこからか感想なのかわかりにくい文章など読むに堪えない。
面接官は、あなたが何者かをあなたの言葉ではなく、実績という事実から判断するのだ。
あなたの捉え方など興味はないのである。
他人の目を通して見えるものが職務経歴書の実力
先ほど、職務経歴書に不要な感情を練り込むことのないように、毎日見返すことが重要と述べた。
それはつまり、感情が異なるという観点で、毎日違う自分の目で職務経歴書を確認することにより、一時の感情を排除するというプロセスであった。
ただし、それでも同じ人間のため、限界はある。
そこで、自分以外の多種多様な方々にチェックしてもらうのが望ましい。
- 自分の仕事ぶりや人と成りを知らない人:転職エージェント
- 自分の仕事ぶりや人と成りを知っている人:一緒に働いたことがある人
仕事ぶりや人と成りを知らない転職エージェントによる希望や強みが反映されているかのチェック、仕事ぶりや人と成りを知っている一緒に働いたことがある人による自分の魅力が反映されているかというチェックを経て、職務経歴書をブラッシュアップする。
①自分の仕事ぶりや人と成りを知らない人
これには、主に転職エージェントが当てはまる。
数多くの人の目に触れるという目的でレビューをお願いするのだから、できる限り多くの転職エージェントにチェックしてもらうのが望ましい。
転職活動実践編ステップ1で多くの転職エージェントと付き合いを持つことで、良い転職エージェントに巡り会えると記載したが、職務経歴書を数多くの観点でレビューしてもらえることも大きなメリットである。
※転職活動実践編ステップ1はこちら
基本的に転職エージェントは転職希望者と一緒に仕事をしたことも、プライベートで多くの時間を過ごした訳でもないので、仕事ぶりも人と成りも知らない。
ただし、転職希望者の希望や強みを客観的に理解している人である。
(もちろん転職希望者が希望や強みを正確に、かつ正直に転職エージェントに伝えている、という条件付きであるが)
そこで、転職エージェントには、その希望や強みが職務経歴書を読んでヒシヒシと伝わってくるかをチェックしてもらう。
②自分の仕事ぶりや人と成りを知っている人
これには、自分と今まで一緒に働いたことがある人が当てはまる。
転職活動を行なっていることは同じ職場のどれだけ仲のよい人にでも隠すことがベターなので、現職でなく、かつて一緒に働いたことがある人が望ましい。
現職でしか働いたことのない人は、自己判断で信頼できる一緒に働いたことがある人にお願いしてみよう。
本当に信頼できる人ならば、案外親身になって相談に乗ってくれる。
このように一緒に働いたことのある人は、自分の仕事ぶりはもちろんのこと、プライベートの付き合いから人と成りもわかってもらえているはずである。
したがって、職務経歴書のレビューにおいては、その人から見てあなたの魅力が職務経歴書から読み取れるか?という観点でお願いするのが良い。
職務経歴書作成で気をつけるべきポイント
ここでは文章を書く上での当たり前であるような、定量的な表現を用いるとか、文体を揃えるとか、文章の構成に気を配るといったことは述べない。
それらは職務経歴書に限らず自分で確認する癖をつけたほうが良いし、仕事をする上での基本である。
これから述べるのは、職務経歴書を記載する際に必ず押さえるべきポイントである。
相手に自分が何者か?を伝える上で必要なのは、小手先のテクニックではない。
以下のポイントを押さえて、自分の魅力という本質に迫る職務経歴書を作成しよう。
①曖昧な表現や耳障りの良い言葉で誤魔化さず、はっきり伝える
これは自分を良く見せようとすることで陥る罠である。
文章を読んだとき、それはつまりどういうことなのか?という疑問が生まれる。
例えばこのような例である。
私が〇〇を行うことで、風通しが良いチームへ導いた
ここで気になるのは、『風通しが良い』という表現だ。
意味はわかるが、具体的にどのような状態を指しているのだろうか。
エピソードに基づくならば、部下から週に1回 1on1以外の場でも相談を受けるようになった、というのが『成果』である。
また、客観的な事実として、ここ5年の会社全体の離職率が10%だったのと比べて、自身が率いたチームの離職率は5%であった、というのも良いだろう。
成果を語るべき職務経歴書において、それはつまりどういう状態か?という指摘が入るのは致命的である。
どうしてもそのような表現になってしまうなら、その理由を考えた方が良い。
そもそも語れるほど自分は何もしていないのであれば、他に語れるエピソードを探した方が良い。
②「だから何?」と言われないために、因果関係を明確にせよ
読み手が因果関係を理解できない時、結局何が言いたいのか?それはつまりどういうことなのか?という疑問で頭の中がいっぱいになってしまう。
例えばこのような例である。
私は関係者を巻き込み、リードすることで、〇〇の成果を得た
だから何?とならないだろうか。
本当か?とも思う。
それっぽく良さそうなエピソードに聞こえるが、これだと以下2つの疑問が湧く。
①あなたは具体的に何をしたのか?
② ①をあなたがしたことで、その成果が得られたのか?
①は文字通り、具体的なあなたの働きが知りたいからこその疑問である。
リーダーとしてチームメンバーへ△△業務における資料作成の指示とレビューをした、といったような具体的な『働き』の中身が知りたい。
②は、その成果があなたのどのような『働き』によって得られたのかというあなたと『成果』との結びつきを知りたいが故の疑問である。
もし何らかの外部要因、例えば他のメンバーによる■■といった働きによってその成果がもたらされたとすると、直接的にはあなたの成果になり得ない。
もちろんその他のメンバーにその働きをさせたのがあなたであれば、それを具体的に説明すれば良い。
もし、どうしても因果関係を明確にできないという方は、成果と自分の働きとの結びつきを自分自身が理解できていないのかもしれない。
そのような場合は一緒に仕事をしていた人に尋ねてみるのが良い。
もちろん、自分なりの仮説を携えて、「私は、私の〇〇の働きによって、△△の成果が得られたと考えているのですが、客観的に見てどう思われますか?」と聞いてみる。
職務経歴書を書くためと言わなくとも、今後の仕事に活かすためと言えば協力してもらえるだろう。
そうして得られた示唆をもとに、自分の働きと成果を結びつけ、具体的に職務経歴書で語るのだ。
③1つのパラグラフに入れて良いのは、最も伝えたい事だけ
一つのパラグラフ(段階)に入れて良いメッセージ(伝えたいこと)の数は一つだけである。
職務経歴書の構成は様々で、どれが正解ということもないが、一つのパラグラフにおいて伝えるべきメッセージは一つに限定しなければならない。
そうすることで言いたいことが明確になり、読みやすい文章になる。
よくある書き出しの悪い例はこちら。
市場環境に応じたアプローチすべきステークホルダーを特定し、目的を達成するための最適なアプローチ手法を考え実行することによって、一定の成果を得た。
・・・
ここで問題なのは、文章が長いことではない。
一文が長いと、単純に読み手が疲れるという観点で読みにくい。
上の悪い例の場合、言いたいことが複数含まれている。
- 市場環境に応じたアプローチすべきステークホルダーを特定したこと
- 目的を達成するための最適なアプローチ手法を考えたこと
- アプローチを実行したということ
- 一定の成果を得たということ
表題に“思われること”と記載したように、何が言いたいのか読み手が推測する必要がある。
つまり、書き手が重要と思っている事を読み手が重要と捉えるかどうかわからない。
また、そもそも書き手が上記4点全てを重要と思っていないのに、不安だから全部書いてしまうというのも人間の心理と言えよう。
したがって、やるべきことと順番は以下である。
- 言いたいことを厳選する
- どうしても言いたいことが複数なら、パラグラフを分ける
まず、職務経歴書で自分の魅力を最大限伝えるために適したテーマを厳選する。
上記の例で言えば、行動力をアピールするために実行力に絞って書くというやり方がある。
一つのパラグラフで言いたいことが複数になっていないか確認するために適しているのは、表題(タイトル)を付けることである。
自分で書いたパラグラフのタイトルがつけられない場合は、あれもこれも含めてしまっている可能性が高い。
そのように表題が自分の言いたいこととなるように、文章をブラッシュアップする。
なお、そのように言いたいこと、つまりパラグラフを分けて書く必要があるくらい相手にとって意味がある強みを押し出せそうならば、パラグラフを分けて書いて良い。
そう考えると、案外書くべきことはあるはずで、むしろ厳選することが難しい作業であることがわかる。
心の底から相手に伝えたいメッセージを厳選しよう。
④削って削って削りまくれ!不安になるくらい分量は短くせよ
これが本当に難しい。
伝えようとすればするほど、書けることを全部書こうとしてしまう。
よく職務経歴書は2枚までにすると良い、とも言われるが、その根拠は乏しい。
長いと読む気にならないというのはごもっともだが、長くとも全て意味がある文章なら、極論読み進めてしまうはずだ。
とはいえ、職務経歴書を読むような採用の権限を持った人というのは忙しい。
なので、全て書きたいのはやまやまだが、相手の貴重な時間を奪うことのないように、分量は限定したほうが良い。
定量的な枚数ではなく、適切な分量の目安は、『そんなに削って大丈夫かな・・?』というくらいである。
伝えたいことがあればあるほど、分量が多くなってしまう。
その気持ちはわかる。
だが、そこはグッと堪え、分量を削ることで、残った文章の質を高めることに主眼を置くのが良い。
最後に
これら4つのポイントは、自分自身で文章にツッコミを入れながら確認できるので、毎回確認する癖をつけるべきだ。
これらを遵守した文章を書かないと、結局自分の魅力が伝わらず、どれだけの分量を書いても、何も言っていないに等しい文章になる。
それでは非常にもったいない。
ぜひ毎回これら4つのポイントを意識して推敲を重ねて欲しい。