ステップ1で転職活動のパートナーとなる最高の転職エージェントと巡り会う方法を述べた。
次のステップとして、どのような考え方で応募する求人を選ぶかを述べたい。
大前提:求人選択の際に遵守すべきルール
輝かしい未来を達成できる求人のみ応募する
当たり前だが、行きたくないところに行く意味はない。
また、転職決意編で描いた理想や就くべき仕事の条件を必ず満たせる求人に応募しなければならない。
私は3回転職しているが、1回目の転職は何も考えずに応募する会社を選んでしまったという点で大失敗だった。
皆さんは転職における目的が明確になっているはずなので、その目的を達成できる求人を必ず選ぶべきである。
現職から逃げたい、という想いが先行することもあるだろう。
だが、条件に合わない求人において準備や面接を受ける時間は無駄である。
仮に現職から逃げても、描いた理想や仕事の条件を満たす会社やポジションでなければ、また同じことの繰り返しである。
ぜひ冷静に判断して欲しい。
とにかく応募する求人の数を絞る
今後述べる転職活動における準備に最大限時間を割くには、応募する求人を絞った方が良い。
なぜなら、転職できる会社は1つなわけで、複数受ける意味は本来ない。
また、現職での仕事を続けながら転職活動をすることになるが、並行して複数の求人における選考が進むと、準備にかけられる時間が十分に確保できない。
どの会社でも職務経歴書や複数回の面接の準備は必要だし、会社やポジションによっては筆記試験が課されることもある。
学生時代の就活のように、皆いっぱい受けているからとりあえず業界も絞らず受けるといった無駄打ちは論外である。
入社したい時期から逆算して、いつまでに職務経歴書を完成させなければならないかを決めるのはもちろんのこと、面接に向けた情報収集や想定問答集の作成を転職エージェントと共に進めなければならない。
また、別の観点として、一度不採用になってしまうと、再度応募することは一定期間できなくなる。
したがって、応募する会社は少ないほど良いし、複数あったとしてもある程度準備の時間が確保できるような計画を立てる必要がある。
仕事をしながら無茶なスケジュールを組んでしまったがために、本来合格できたはずなのに不合格になってしまうというのはあまりにも勿体ない。
複数候補がある方が安心する気持ちはわかるが、より良い結果からは遠のいていく。
複数候補がないと安心できないという状況は、準備が十分にできていないことを意味すると考えてほしい。
1発に命をかけるべきだ。
【求人選択の失敗例から学ぶ】俺の屍を超えて行け
入社したいところだけ応募しろと言われても、とにかく今の仕事を辞めたいと思っている人もいるだろう。
だが、その考え方でよく考えずに転職すると地獄を見る事になる。
少し私の話をしたい。
私は、新卒で入社した市場調査の会社を1年11ヶ月で辞めている。
当然まだまだ仕事での実績など無いに等しい状態で、かつ私は真面目でも優秀でもなかった上に、プライベートのいざこざも持ち込むというお粗末ポンコツ糞社員だった。
そんな状態でまた私の悪い癖、これは気質とも言うべきものだが、内なる悪魔の囁きに唆された。
というか頼ったと言った方が正しい。
悪魔に魂を売ったのだ。
『会社は星の数ほどあるのだから、転職すれば良いではないか?』
私が働いていた市場調査の会社は上場企業ではあったものの、もっと有名な会社に行きたいという思いもあった。
加えて、ホールディングス制で複数の業界ごとに会社が分かれていたのだが、私がいたヘルスケアカンパニーは傍流の扱いで、本体とも言える消費財やメディアを扱う会社とは給与体系も大幅に違った。
当時の私にはとても許せないことだった。
『なぜ彼らに家賃補助が月4万円もあって、俺には無いのか?』
今思えば会社の歴史や売上の規模など様々な要素の結果としてそうなっていることはわかるのだが、当時の私は納得できなかったのだ。
プライドなどクソの価値も無いということさえ知らない子どもだった。
そんな精神状態で、かつグループ会社含めて40人以上いる同期との付き合いもうまくできていない自分は、何もかもリセットしたかった。
『またリセットすれば良いではないか?』
悪魔は囁きを止めない。
そうだ、リセットすれば良い。
私は元々人付き合いがとても苦手だった。
幾度となくリセットしてきた。
今回はリセットの手段として、転職を選ぶだけ。
そして、医療機器メーカーのマーケティングのポジションに転職した。
だがここで大変なミスを犯したことを後に知る。
自分の転職という行動を肯定するために、無理矢理都合の良い解釈をしてしまい、ミスを犯していることに全く気づけなかったのだ。
私は市場調査の会社で主に製薬・医療機器メーカーのマーケティング部門からの調査案件に従事していた。
よくあるケースだが、そのクライアント側に行きたいというのがその転職での目論見だった。
だが、上にも述べたように何の実績もない当時の私には、メーカーの花形とも言えるマーケティング部門に転職するなど不可能であった。
それを頭では理解しつつも転職エージェントに勧められた求人が、私が転職することになる以下の会社である。
- 外資系医療機器メーカー、日本法人は150人ほど
- マーケティング担当
- 担当製品は救命に寄与するカテーテル、かつ世界でトップシェア
一見良さそうだ。
だがこの求人を選ぶべきではなかったことは後にわかる。
なぜ私はこの求人を選んでしまったのか?
その理由は3つある。
- 転職における当初の目的を見失っていた
- ポジション名に踊らされ、職務内容を把握できていなかった
- 将来的にどうなりたいかのシミュレーションが不足していた
それぞれ解説していく。
①転職における当初の目的を見失っていた
私はそもそも有名でない会社で働くことにコンプレックスがあったわけで、規模の小さい、かつ医療従事者ですら会社名を知らないようなメーカーに行く意味はそもそもない。
そんな簡単な条件すら、自分で認識しながらも見ないようにしていたのだ。
転職の目的に正しいも間違いも大きい、小さいもない。
コンプレックスを跳ね除けたいという目的を卑下することは、今の私にも当然ない。
転職の目的など何でも良いと思う。
ただ、目的を見失い、とにかく現職から逃げたいという思いが先行し、明らかに条件にそぐわないのに、それを無視してしまうのはよくなかった。
完全に自分の都合の良いものしか見えない状態で、客観的な評価など絶対にできない。
一歩引いて冷静に、求人内容が自分の希望に沿っているかを確認する必要がある。
②ポジション名に踊らされ、職務内容を把握できていなかった
マーケティング部門への転職を目指すと言っても、そもそもマーケティング部門が何をしているのかを全く理解できていなかった。
また、今となっては医薬品メーカーやコンサルティングファームでの勤務経験でわかるのだが、会社によって同じポジション名であっても職務内容は全く異なる。
そのポジションにおける職務内容とは、会社の規模や扱う製品といった基本情報のみならず、部門長の意向や他部署との関わり方と言った会社独自の文化にも当然影響を受ける。
それらを求人票から完璧に把握することは難しい。
そこで転職エージェントの出番である。
転職エージェントは求人票を持っている会社の人事部や採用権限を持った方との付き合いがある。
上記求人の例で言うと、マーケティング部門長との付き合いがあり、どのような人でどのような考え方を持っているかを把握していたようだ。
それを転職エージェントからきちんと聞き出し、求人票からわからない情報も加味して、そのポジションが自分に合っているか、希望に沿っているかを評価する必要がある。
③将来的にどうなりたいかのシミュレーションが不足していた
当時は社会人になったばかりで理解していなかったが、総じて言えることは、会社には長くいた方が出世に有利である。
それすなわち給与にも直結してくる。
出世には、その会社で挙げた実績、もしくは長年在籍しているという安心感も必要だ。
そうなると、無闇に転職するのはあまり良い手とは言えない。
ただし、コンサルティングファームのように、ある程度これまでの実績を考慮し、給与や職位が高いポジションで雇ってくれる余地がある場合はその限りではない。
私は前述の小さな医療機器メーカーに転職して、どのようなキャリアを描いていたかというと、何も描いていなかった。
少なくとも、何年で管理職となり、これくらいの給与が欲しいという希望を持って、それがどれくらい現実的に達成できそうかなのかを、会社の内情を知る転職エージェントから情報を引き出して判断しなければならなかった。
私は本当に何も考えていなかったので、当然転職エージェントとそんな話はしていない。
なので、出世には大変な時間がかかること、それに給料は思っているほどはもらえないことを、転職後に知って後悔するのである。
最後に改めて問う『この転職で成し遂げたいことは?』
皆さんは転職決意編のステップ2で理想を言語化できているので、先ほど述べた私のようなミスは犯さないと思う。
『今回の転職で何を達成したいのか?』
転職の目的を見失わず、ポジションの中身を理解し、将来をシミュレーションして応募する求人を厳選して欲しい。
そして、ご自身が描いた理想をぜひ実現して欲しい。