面接は転職活動のハイライトとも言える局面であり、準備の有無によって出来は雲泥の差となる。
面接に至る前に会社に提出した職務経歴書のような文章とは異なり、話し方を含め生身の人間が醸し出す情報を総合的に判断してもらうのが面接だ。
つまり、十分に準備したことによる自信が立ち居振る舞いに現れ、それが合否を分けるほどの差になるのである。
そのような自信をつけ、面接をこちらのペースで優位に進めるために必要な準備について解説する。
面接の全体像を正確に把握する
書類審査通過後に行われる面接は、たいてい複数回である。
多くは3回程度で、例えば非管理職のポジションの場合、一次面接は現場の上長となる方、二次面接は現場の上長の上長である部門長、三次面接(最終面接)は部門長の上長である役員といったところだ。
もちろん会社の規模や応募する職種や職位、会社ごとの考え方によって、面接官がどのような役職の誰になるか、人数も含めて千差万別である。
したがって、まずは応募した会社の面接が“今まで”どのように実施されてきたかの情報収集を行う。
それを調べるには、転職エージェントに聞くのが早い。
以下ポイントを押さえ、応募したポジションにおける今まで行われてきた面接の詳細を把握する。
- 【テンポよく面接日程を組むため】面接回数・実施形式(オンライン or 対面)
- 【想定問答集の大枠を決めるため】面接ごとの所要時間・進め方
- 【逆質問の精度を上げるため】面接官
①【テンポよく面接日程を組むため】面接回数・実施形式(オンライン or 対面)
まずは基本情報となる面接回数と実施形式を把握する。
これらは面接に臨む心構えとして、知っておいた方が良い。
面接が2回と4回では気持ちの作り方は変わるものである。
また、実施形式がオンラインであれば、在宅勤務の空き時間に面接を受けるというスケジュールを組むことも可能になる。
面接は調整に1週間、面接実施後に返事をもらうまでに1週間くらいかかることが多いため、1回の面接で約2週間ほどかかる。
そうすると、全3回の面接であっても、一次面接の調整を始めてから最終面接の結果が出るまで1ヶ月半はかかってしまう。これでも最短のスケジュールだ。
実際には、仕事の都合上日程候補をほとんど出せず、先方との調整が折り合わずに面接が1ヶ月先になってしまうことがある。
それだけでもモチベーションを保つのは難しい上に、最も大きな問題は他の候補者の面接が先に進み、先方の採用への気持ちがその他候補者に傾いてしまうことである。
採用枠にもよるだろうが、他候補者の面接が先に進んだとしても、こちらの面接を組んでくれないということはほとんどない(もちろん打ち切られることもある)。
ただし、先方の気持ちが他候補者に傾いている状況で、面接の評価は正当に行われるだろうか?
『こいつは面接日程の調整が遅かったな。他候補者はもう最終面接を控えているところまで進んでいるのに。日程調整なんて仕事の基本なのに、こいつは何ができるんだ?』
このように思われながら面接を受けるのは大変危険である。
そのような感情が入り混じった状態だと、単に機嫌が悪いようにも見えるので、こちらも萎縮してしまうし、気持ちがノッてこない。
完全にコントロールできるものではないが、こちらがどうにかできる日程調整という点で先方にストレスを与えないのが吉である。
仕事をしながら転職活動をしていることは先方には折り込み済みなのだが、それでも先方にとって採用活動は会社にとって重要な『仕事』である。
ましてや、通常採用してから会社のルールを覚えたり、まともに稼働できるまでそれなりに時間を要することを鑑みると、採用するのは早いに越したことはない。
以上より、少しでも早く面接日程のスケジュール調整を行っていくために、面接回数と実施形式を知って、仕事の調整をうまく行っていく。
②【想定問答集の大枠を決めるため】面接ごとの所要時間・進め方
次に、面接ごとの所要時間と進め方を把握するべきである。
所要時間は読んで字の如くで、1時間なのか30分なのかによって質問されるであろう内容が変わるはずなので対策も変わってくる。
また、進め方というのは面接官がどのような構成で面接を進めるかについてである。
多くは、自己紹介、志望動機から始まり、その他面接官が職務経歴書を読んで気になったことや深堀したいことについて質問されるという流れだ。
加えて、最後にこちらからの質問(逆質問と呼ばれる)で締めるというのがお決まりである。
これらのオーソドックスな流れに拠らない構成で面接が進められることも十分にあり得る。
私の入社した外資系コンサルティングファームの場合、一次面接では自己紹介を数分行ったら、45分ケース面接に時間を割き、最後に少し逆質問をする時間が与えられた。
また、最終面接では、自己紹介のあと、残り時間のほとんどを逆質問に充てられた。
このように業界や職種はもちろんのこと、面接のステージによって、進め方は全く異なる。
面接官は後で面接の内容を記録し報告するため、会社で決められた流れを守っていることが多い。
今までどのように面接が進められてきたのかをきちんと把握し、意味のある想定問答集作成の礎とする。
③【逆質問の精度を上げるため】面接官
面接官に誰が出てくるかなどわからないと言いたくなるかもしれないが、転職を成功させるためには、それすら情報収集しなければならない。
確かに一次面接や二次面接は職位が高くない管理職の方が面接を割り振られることもあるので、誰が出てくるかまではわからないことが多い。
たとえそうであったとしても、転職エージェントを通じて、面接官として出てくる方々の特徴はできる限り情報収集しておくべきだ。
転職エージェントは今まで面接を受けた他候補者からのフィードバックを必ずもらっており、面接でどのような質問がされたかだけでなく、面接官が誰でどのような人物だったかも把握している。
それを教えてもらうのだ。
なお、最終面接で出てくるような役員クラスの方々の場合、ホームページに略歴が記載されていることが多い。
また、単に略歴だけでなく、会社の目玉の実績と言える事例を役員が紹介するようなコラムもあるはずだ。
これらの情報から、その役員が何を担当しており、どのような実績を挙げ、何に苦労したと想定されるのかを具体的に把握する。
こういった略歴だけでなく過去の実績を踏まえた面接官の人と成りを、逆質問の精度を上げるための情報として活用する。
『ここまで必要ない』と思うまで準備せよ
面接の全体像を正確に把握した後、想定問答集と逆質問の準備に進む。
面接本番に自信を持って臨むためには、想定問答集と逆質問をとことん準備することが大変重要となる。
その質を向上させる基礎となるのが本記事で紹介した面接全体像である。
これが正確に把握できていないと、想定問答集も逆質問もあるべき方向性から乖離していってしまう。
面接は準備が10割、全てである。
『これだけ準備したのだから』というマインドで臨める人間は本当に強い。
『ここまで必要ない』と思うまで準備して面接を突破しよう。