転職活動実践編

【転職活動実践編:ステップ6 逆質問作成】面接官の心を掴め

ステップ4で面接の全体像を把握する際に、面接官の事前情報収集を行った。

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その情報に加え、ステップ3の『正しい企業研究のあり方』で行った企業の情報をもとに、効果的な逆質問を作成する。

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なお、逆質問までの理想的な流れとして、事前に調べてきた情報を把握していることを面接官に如実に理解して貰えていることが大事である。

つまり、逆質問自体は聞きたいことを質問する内容になっているが、面接中に伝えている内容を鑑みて随時補足しながら質問する必要があることに考慮いただきたい。

また、単に面接官から返答をもらうだけでなく、深堀する質問を返すなど話題を広げる必要もある。

そのためには、まずは以下の考え方を押さえておく必要がある。

逆質問作成で遵守すべき基本ルール

  1. 面接官が答えやすい質問を心がける
  2. 競合との関係に気を配る

①※伝えるべきことは以下

難しすぎると相手が答えにくい。

反対にYes,Noで答えられるものは話が膨らまない。

②※伝えるべきことは以下

誹謗中傷はダメ。何がどう異なるのかを聴く

もしかすると、元々その面接官は引き合いに出した競合にいて、愛着を持っているかもしれない。

退職する人全員が嫌だから辞めるわけでは決してない。

効果的な逆質問作成のポイント

以下4つのポイントを押さえて、効果的な逆質問を用意する。

  1. 理解度を伝える
  2. 面接官への関心を示す
  3. 早期退職の懸念を払拭する
  4. 自分が取り組んでいることを余すことなく伝える

①理解度を伝える

企業が大事にしていることや応募する部門の文化、ポジションの業務内容を深く理解していることを伝えつつ、より深く知りたいという熱意をアピールする。

そして、面接官に『この人と一緒に仕事がしたい』と思ってもらうのだ。

ここでは、会社共通の質問だけでなく、会社ごとに異なる質問も用意する。

逆質問例(共通)
  • 御社が大事にしているパーパスを自分なりに◇◇と理解しておりますが、より理解を深めたいです。具体的なエピソードで御社のパーパスを体現された事例を教えていただけないでしょうか?
  • HPからは〇〇部門におけるチーム構成まではわかりませんでした。自分がどのような仕事をしていくかの理解を深めるために、ご縁をいただいた際に私はどのようなチームで、どのような役割を担うことになりそうでしょうか?
  • 私は先ほど来申し上げている通り、自分のバックグラウンドで培った△△のスキルを■■業務に活かすつもりです。〇〇部門にはどのような経歴の方が多いのでしょうか?
逆質問例(会社ごと-コンサルティングファームA社の場合)
  • HPに『日本からのビジネスモデルの輸出に対する需要増に伴い、グローバルを舞台にした支援の機会が増えている』とあるが、具体的にはどのような案件なのか?また、アサインされるのに必要なスキル、特に英語力はどれくらいのレベルが求められるのでしょうか?
  • 御社の〇〇CEOはロジカルシンキングとデジタルの両方の素養を併せ持った人材が欲しいと仰っておられますが、■■領域で求められるデジタルの素養に関して、どのような知識あるいはどのような技術の感度を高めておくべきかを教えていただけないでしょうか?
逆質問例(会社ごと-コンサルティングファームB社の場合)
  • 御社がクライアントから支持されるのは■■の専門性に加えて〇〇や△△のような他産業の専門性を持つ人材ともチームを組めるからだと理解しています。そのような産業を超えたサービスの提供によってうまくいった事例があれば教えていただけないでしょうか?
  • オファリングを見ていると、コンサルのイメージである報告書とプレゼンを行って終わりというようには見えません。プロジェクトの期間やアウトプットを具体的に教えていただけないでしょうか?
逆質問例(会社ごと-コンサルティングファームC社の場合)
  • HPに『■■業界の知見と統計分析のスキルを持つコンサルタントが予測、要因分析、効果検証、テキスト解析など様々な業務における課題解決と戦略立案をサポートします』とありますが、どのようにコンサルタントとしての上記スキルを身につけていくべきとお考えでしょうか?マインドセットも含めて教えていただけないでしょうか?
  • 御社の強みは、戦略策定はもちろんのこと、ソリューションの開発からリリース、保守に至るプロセスを全て請け負うまさにEnd to Endのサポートが可能であること、と認識していますが、他に競合優位性として御社が注力しているサービスはございますでしょうか?

なお、上記会社ごとの逆質問例はごく一部であり、私は最低でも各社10個は用意していた。

企業研究がきちんとできていたら、10個くらいの質問を出すことは容易いはずである。

②面接官への関心を示す

面接官への関心を示すことは、『あなた方の仲間になりたい』という姿勢をより如実に打ち出すということとなる。

もちろん職位が高い部長や役員でないと、HPやYouTubeといった企業からの発信に名前や顔が出ていないのだが、非常にインパクトがあるので必ず用意しておくべきである。

誰しも、自分のことを知っていてくれたら嬉しいものだ。

ただし、相手は百戦錬磨のビジネスパーソンなので、会社名や職位で何となくチヤホヤされることは好まない(それはそれで悪い気はしないと思うが)。

逆質問を通じて、面接官が何を実施したことでその功績を残し、また何に苦労していたのか、生の武勇伝を語らせるのだ。

また、多くの部下を持ち、日々プレッシャーがかかる責任を担われている職位の高い方々には、どのようなマインドで仕事を進めているかを聞くのも効果的である。

返答内容は今後の自分の仕事の進め方にも大いに役立つ上に、『自分のようになりたいと思っているのか、可愛い奴だ』と面接官に思わせることもできる。

逆質問例
  • HPで、〇〇自治体案件について■■さん(面接官)が紹介しているコンテンツを拝見しました。その取り組みが△△を実現する新たな日本型デジタル医療の先進事例であることは理解できたのですが、より具体的な取り組み内容、特に苦労した点とどのように打ち破ったかを教えていただけないでしょうか?
  • 日々プレッシャーのかかる仕事を進めていく上で、自分の機嫌をいかにうまくとっていくかが重要だと推察いたします。部門の責任者を担われる■■さんのお考えを教えていただけないでしょうか?

③早期退職の懸念を払拭する

採用活動は、職務経歴書を読んだり、面接を実施したり、その後採用するかを決める会議を実施したりと管理職は多くの工数を割いている。

また、転職エージェントを通じて採用する場合に会社側が支払うマージンも大変なコストである。

このように時間とお金をかけて採用を行う上で最も困るのは、すぐに辞められてしまうことである。

したがって、面接を受ける立場において必ず早期退職の懸念は払拭しなければならない。

複数回の転職経験がある方なら、尚更意識して面接を組み立てていく必要がある。

もちろん複数回転職しているからといって、臆することはない。

私自身3回転職しており、3回目の転職の際には、あるコンサルティングファームの最終面接は『転職回数が多く、定着してもらえるか不安だったから』という理由で不合格となった。

それが本当の理由なのか、不合格の理由がそれだけなのかはわからない。

実際私は他のコンサルティングファームから内定をもらって入社できているわけで、おそらく不合格の理由は『転職回数が多い』という事実に基づく判断ではない。

単純に、転職回数が多いという事実を踏まえた面接官が納得する回答を私ができず、早期退職の懸念を払拭できなかったがために、マイナスポイントになったのだと思う。

どれだけ他でプラスポイントを積み重ねても、その面接官が過去に採用した人が早期に退職したといった苦い経験があったりすると、早期退職の恐れがあると判断され、とんでもなくマイナスポイントを食らう可能性がある。

できる限りマイナスになる余地は少なくするためにも、早期退職の懸念は払拭しよう。

ただし、いくら『すぐには辞めません!』と言ったところで、転職経験がない人ですら説得力はない。

つまり、ここで押し出すべきは、『どのように御社でキャリアを築こうとしているのか』というビジョンである。

想定問答集作成の想定される質問においてキャリアの展望を挙げたが、逆質問ではそれら自分が答えた内容をサポートする質問を用意する。

長い時間軸で面接官が具体的にイメージ出来るようにするのだ。

逆質問例
  • 私は御社で活躍したいと強く考えています。どのような能力が求められるか、そして入社までに身に付けておいた方が良いスキルはありますか?
  • 私は10年以内には、プロフェッショナルとしてプロジェクトをリードする役割を担いたいと考えています。30代後半でそのような活躍をしていらっしゃる方はおられますか?また、その方々に共通点などありましたら教えていただけますでしょうか?

④自分が取り組んでいることを余すことなく伝える

面接を通じて自分をアピールする術はこれまで述べてきたのだが、そうは言っても想定していた質問とあまりに違う質問が面接官から投げかけられ、自分の言いたいことを全て伝えることができないことはままある。

その場合、逆質問を活用して、言及出来ていなかった自分のスキルや取り組んでいることに触れ、面接官に自分のことをより理解してもらう契機とする。

なお、これまでの①〜③でもそうであったが、④は特に会話を広げやすい。

単に質問して教えてもらうのではなく、面接官からの回答に対してさらに深堀する質問を返したり、反対に面接官から質問を引き出すのが理想である。

『あれもこれもできる』『これもかじっている』と見境なく伝える必要はなく、あくまで自分が押し出すべき強みや取り組んでいることを真摯に伝え、会話を広げるのだ。

逆質問例(コンサルティングファームの場合)
  • 論理的思考力を高めるべく書籍で学んでいる途上だが、実生活ならびにビジネスで論理的思考力を高めるオススメの訓練法があれば教えていただけないでしょうか?
  • 研究開発の高度化によってコンサルタントには業務へのより深い理解や専門的な知見が求められていると思います。どのように広く深く情報をキャッチアップしているのか教えていただけないでしょうか?
  • 必要な情報を即時入手し理解を深めることが大変重要だと考えています。この情報検索力はどのように鍛えるのが効果的だと考えていますでしょうか?

これら①〜④のポイントを押さえた逆質問を用意し、面接で余すことなく己の魅力を面接官に刷り込んでいく。