クロージング編

【クロージング編:ステップ2 退職の挨拶】後の人生を彩る名バイプレイヤーと深く繋がれ

【大前提】新しい道を切り開く自分に自信を持つべし

いざ退職が決まり、関係者にその旨伝えていくときの心構えを伝授したい。

大前提として、あなたが真剣に自分の人生を考え、転職という手段を選択し、実際に行動して道を切り開いたのだから、絶対に『申し訳ない』という気持ちを持たないで欲しい。

申し訳ないという気持ちに至る理由が『自分の仕事を誰かに引き継がなければいけないから』だとしても、今後そうでない状況は永遠に訪れないし、誰かの仕事を引き継ぐのは仕事をしていたら普通のことなので、そもそも気に病むことはない。

もちろん日本の会社の風土やあなたの性格的に“ポーズ”としてそういった態度を取っておいた方がよければそうすれば良い。

もちろん無理に明るく振る舞う必要はないので、堂々と普通にしていれば良い。

退職する旨を伝えるべき人

正式に退職がオープンになる前に誰に伝えるかは難しい。

その場合は誰にも伝えなくて良い。

退職の旨を伝えた上長とその上長のみが知っている状態でオープンになった後、以下の順番で個別に連絡を取っていくと良い。

退職の旨を個別に伝える方
  1. プライベートで会いたい人
  2. プライベートで会いたいと思わないが、仕事で関わる可能性が1%でもある人

①プライベートで会いたい人

仕事で成長する機会を与えてくれた方やお世話になった方々の中でも、今後プライベートで忙しいなか時間を調整してまで会いたいと思える人はそういない。

そのような人に巡り会えたとしたら大変な幸運なので、いの一番に退職の旨と感謝の想い、これからも付き合いを持っていきたいことを伝えるべきである。

私にも以前の職場の上司で、退職後に食事に行く間柄の方がいるのだが、連絡をすると大変喜んでくださる。

一緒に働いていた時は非常に厳しかったが、自分の目指す姿であること、自分と性格が似通っていることもあり、シンパシーを感じていた。

今後、仕事で関わる機会がどれくらいあるかはわからない。

もしかすると仕事で関わることは永遠にないかもしれない。

だが、連絡先さえ入手しておけば、こちらから連絡して会いにいくことができる。

節目節目で、自分の考えを話し、アドバイスをもらう。

良い緊張感に包まれた上質な時間を過ごし、また今度良い報告ができるように明日から頑張ろうと思えるようになる。

人との出会いは偶然かもしれないが、退職後の付き合いは100%あなた次第である。

プライベートで会いたいと思えるような人がいるなら、必ずしっかりと向き合って欲しい。

②プライベートで会いたいと思わないが、仕事で関わる可能性が1%でもある人

上述の①とは異なり、プライベートでは会いたいと思わない人でも退職の旨を個別に伝えた方が良い人がいる。

それは、今後の仕事で関わる可能性がほんの少しでもある場合だ。

この時代何が起きるかわからない。

出戻りさえ珍しくない時代で、仕事上の繋がりを作っておくことは大変重要である。

プライベートの誘いで連絡することはないにしても、仕事上連絡を取れると役に立つ可能性を見越して、連絡先を交換しておくと良い。

私の場合は、現職のコンサルティングファームでの仕事で、前職の製薬メーカーがクライアントになる事さえあり得るし、今後コンサルティングファームを卒業して前職の製薬メーカーに戻る道も残しておきたい。

詳細は割愛するが、前職の製薬メーカーにいた時も現職のコンサルティングファームでも、この②に当てはまる人との繋がりを活かして仕事を前に進めたことがあった。

仕事上得た繋がりを有効活用する意識を持っていると、思わぬところで効いてくるものだ。

ずる賢さも必要だが、自分の本能も優先したい

先ほど退職の旨を伝えるべき人について『プライベートで会いたいと思わないが、仕事で関わる可能性が1%でもある人』を挙げたが、これは完全にビジネス的な判断によるものであった。

確かにそのような冷静でずる賢い判断や行動は非常に大事なのだが、それでも私たちは人間なので、冷静さを欠いた振る舞いも悪くないと思っている。

仕事をしていると水と油以上に相容れない奴と一緒になることは珍しくない。

そんな奴に今後仕事で関わる可能性が排除できないからと言って、ヘコヘコするのは馬鹿らしい。

100%同意である。

私も今でこそ30歳を過ぎ、人生経験を経て、後先考えて行動できるようになったが、昔はひどく衝動的に行動していた。

それが仕事でもプライベートでも多くのトラブルを引き起こしていた。

元来そういう人間で、そういった症状が出ないように重たい羊の皮をかぶって押さえつけているだけなので、いくら頭でわかっていてもムカつく奴に『お世話になりました。本当に感謝しています。これからも連絡取らせて欲しいので連絡先を教えてください』とは今でも口が裂けても絶対に言いたくない。

だから私は、冷静な行動を取れないからといって、その人を批判しない。

私がそういう人間だから、という理由だけではない。

自らより良い人生が何かを考え行動したあなたが、今後仕事で関わることがあるかもしれない、という小さな可能性によって自分を抑圧する様を見たくはないのだ。

仕事をうまくやっていくための一つの要素、なんなら小さな小さな要素にこだわって自分を抑圧するなど割に合わなすぎる。

だから、辞めるから最後に全部ぶちまけてやろう、というのも大いにアリだと思う。

これを止めてくるのは、偽善者だ。

すでに冷静に行動するメリットは十分に述べたので、どうするかはあなたが決めれば良い。

仕事で生まれた繋がりが続いていくって素晴らしい

プライベートでお金と時間をかけてでも、会いに行きたい人がいるというのは本当に素晴らしいことである。

『あの人に褒めてもらえるような仕事をしたい』『豊かな人生を贈りたい』こういった想いを抱くことができると、日々キツい時に大きな励ましになる。

自分を助けてくれる人に何かしたいと思えることも、また素晴らしい。

私は、まともに感謝も伝えられない学生時代の後輩や、話が合わない同級生とのゴミみたいな飲み会に時間を浪費することをやめた。

そんな時間があるなら、家族やお世話になったあの人に良い報告ができるような人生を歩みたい。

退職後も人生は続く。

その人生の主役は間違いなくあなただが、その脇には『名バイプレイヤー』であるお世話になった方々がおられることを忘れてはなるまい。